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司法書士 Sharon legal office



遺言は、あなたがお亡くなりになった後に、その効力を発揮します

存在が明らかとなって、はじめて日の目をみるのであって、

見つけてもらえなければ、その力は発揮されません

見つけてもらうためには、保管場所がとても重要です


遺言の種類ごとに、保管場所を検討してみましょう

 

公正証書遺言の場合は、

原本は遺言を作成した公証役場に保管されます

相続人に対しては、遺言を作成した公証役場の場所を伝えておけば十分です


自筆証書遺言の場合は、

遺言者の判断で保管場所を決めることになります

改ざんや破棄を防ぐためには、

利害関係のない第三者へ保管を依頼することが望ましいです

具体的には、ご友人や専門職である士業、信託銀行などです

もう一つの有力候補は、法務局です

3年前に運用が始まった自筆証書遺言保管制度を利用します

改ざんのリスクゼロ、

コスト面でも信託銀行などと比べて圧倒的に安価、

さらに自筆証書遺言であるにもかかわらず検認の手続きも不要 という優秀さです


遺言の作成を検討されているのであれば、内容と併せて、保管場所にもご留意を



 


先日、市の広報誌に市営墓地についての記事がありました


納骨や改葬、使用者の死亡による承継等には手続きが必要、

使用区画の清掃や草刈りなどの維持管理は各自で行いましょう、とのこと

お盆に時期に合わせてのアナウンスですね


ところで、“改葬”をご存知ですか?

改葬とは、お墓を引っ越すことです

昨今増加傾向にあり、年間11万件を超えているそうです

都市部への人口移動や少子化により、お墓の管理が難しくなっていることが要因です


また、管理を子供たちに託したくないなどの理由から、

お墓を片付ける“墓じまい”をする方も増えています

こちらも年間12万件を超えており、15年前に比べて倍増しているそうです


 お墓以外の供養の方法としては、合同墓や樹木葬、散骨などがあります

ライフスタイルの変化に伴い、お墓に対する考え方も変わりつつあります

令和の現在、供養の仕方もそれぞれ、お墓のかたちもそれぞれですが、

亡くなった方を偲ぶ気持ちは、いつの時代も変わりません


 

子供のいないご夫婦は、お互いに相手が亡くなったとき、

遺産の全部を自分が相続するものと考えます

夫婦で築いた財産ですから当然です


しかし、法律は、そのようにはなっていません

現在の民法は、夫婦に子供がいない場合、配偶者と共に、亡くなった方の親にも相続権があります

親よりも上の世代が亡くなっている場合は、兄弟にも相続権が発生します


夫婦で築いた財産について、

相手の親や兄弟に相続権があることに違和感を持つ方も多いと思います

実は、この規定、明治時代につくられました

当時は、家制度により、親や兄弟とは経済的にも強い結びつきがありましたから、

子がいなければ、親や兄弟が承継することが自然でした

しかし、現代は、親兄弟といえども、婚姻により別世帯となります

親や兄弟と経済的な強い結びつきはありません

結びついていないのに、相続権があること、これが揉める原因となっているように感じます


個人的には、子供のいない夫婦の相続人は、残された配偶者だけでよいのではと思います

遺産の中にご夫婦で築いた財産ほかに、

親から受け継いだ財産がある場合は、一定の配慮も必要かもしれませんが、

私自身は、自分の息子や娘、或いは兄弟姉妹が、配偶者と築いた財産に対して、

法定相続分を主張するようなことはしたくないなと思います


皆さんは、どのようにお考えになりますか? 


法務省は、インターネット上で作成・保管できる遺言システムの検討を始めたそうです

来年3月を目途に、新制度の提言を行うとのことです

デジタル化の波がとうとう遺言にも到達したのね~と感慨深いです


 新制度と現行の自筆証書遺言と比べてみると、

 ① 自筆不要→ネット上のフォーマットに従って入力

 ② 押印不要→電子署名で代替

 ③ 紙保管→クラウド上に保管、ブロックチェーン技術で改ざん防止

 となっています


ちなみに、 海外の対応は、

米国では、19年に電子遺言書法が制定されています

導入は、州ごとの判断に委ねられており、

フロリダ州やネバタ州では既に運用がされています


欧州では、ドイツやフランスなど、

未だデジタル形式や録音などの遺言は認められていません


アジア圏では、韓国は録音による遺言が有効とされているようです


遺言は、円滑な相続のために有用なアイテムです

選択肢が広がることにより、更に身近で使いやすい制度となることが期待されます


 

被相続人が遺言を残していなかった場合、相続人は遺産の分配方法を話し合います

これを遺産分割協議といいます


遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です

反対する相続人がいると永遠に成立しません

 

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所で“話し合い”をすることができます

これを遺産分割調停といいます

話し合いをするといっても、当事者が対峙して行うものではありません

それぞれが別室で待機し、

調停委員が双方の言い分を個別に聴き、妥当な分割案を提示してくれます

双方が分割案を受け入れれば、調停成立となります


 調停のメリットは、中立な第三者である調停委員が介入することにあります

当事者同士の話し合いがいつまでたっても平行線という場合は、

話し合いの場を裁判所に移してみることで、思わぬ解決策が得られるかもしれません


当事務所では、

必要な場合には調停の代理人となる弁護士をご紹介することもできます

 

裁判所などと構えることなく、

話し合いに行くという気楽な心持ちで利用していただければと思います


女性の社会進出が一層進む中、

旧姓を使用しながら活動される方も増えています


旧姓は、通称名であって戸籍名ではないため、

本人確認が必要な場面では様々な不便がありました


2019年11月5日、

住民票やマイナンバーカードに旧姓を併記できる制度がスタートしました

銀行口座の開設など旧姓で行う活動の本人確認に役立つことが期待されています

ちなみに、本人確認書類として最も利用されることの多い運転免許証も

旧姓併記できるようになっています


住民票等に旧姓併記を希望される方は、お住いの地域の役所にて手続きが必要です

原則は併記なし

例外的に併記する

という具合になっていますのでご注意を


ところで、旧姓併記制度の導入には、システム変更に伴い、

約200億円の費用がかかったそうです

2018年7月に実施された調査によると、

「夫婦が別姓であってもよい」と考える人が50・5%となり、

初めて半数を超えたそうです

選択的夫婦別姓を法制化すれば、この費用は…と思う今日この頃ですが、

みなさんはどう思いますか? 


1 どんな制度なの? 

  相続した土地が所有者不明土地の予備軍となっている現状を踏まえ、

  その発生予防の観点から、

  相続した土地を手放して国に引き取ってもらうという新しく創られた制度です


2 誰でも申請できるの?

  相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば、原則申請可能です

  制度の開始前に土地を相続した方でも申請することができますが、

  売買等によって土地を取得した方や法人は対象外です


3 どこに申請するの? 

  申請窓口は、帰属する土地を管轄する法務局です


4 どんな土地でも引き取ってくれるの?

  一定の要件をクリアした土地でなければなりません

  例えば、建物がある土地、土壌汚染のある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地は、

  そもそも申請すらできません

  また、勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖がある土地や土砂崩落などの

  災害発生防止措置が必要な土地も対象外です


5 費用はどのくらいかかるの?

  審査手数料と負担金が必要です

  負担金は原則20万円となっていますが、多数の例外があります

  住宅街の宅地、優良農地や山林については、面積に応じて金額が決まります

  具体的な算定方法は、法務省HPに詳細が掲載されていますので、参照ください


ハードル高そうな相続土地国庫帰属制度ですが、いよいよ4月27日にスタートします

制度の利用を検討される方は、専門家や法務局にてご相談下さい


 

みなさま、明けましておめでとうございます

 いつも このコラムをお読みいただき、ありがとうございます

本年も、みなさまのお役に立つような情報を発信して参りますので、

どうぞよろしくお願い致します


 さて、3年ぶりの行動制限のないお正月でしたが、皆さんはいかがお過ごしでしたか?

ご親族が一堂に会し、楽しい時間を過ごされたという方も多いと思います


一般的に親族というと、親戚全員という認識がされますが、

法律上の親族は、すべての親戚が含まれるというわけではありません


法律上の親族とは、

①6親等内の血族 ②配偶者 ③3親等内の姻族 とされています


 血族とは、血縁の繋がっている者のことです

親、兄弟、祖父母、おじおば、いとこなどです


姻族(いんぞく)とは、配偶者の血族のことをいいます

夫からみると妻の父母、妻からみると夫の父母は、姻族です


配偶者は、血族でも姻族でもありませんが親族です


親等(しんとう)とは、親族関係の遠近を表す単位です

親族としての距離を測る意味を持っています

親等の数え方は、同一の始祖まで遡って数えていきます

親子であれば1親等、兄弟であれば2親等、おじやおばは3親等、いとこは4親等となります


となると、お正月に集まる親戚は、

ほぼほぼ法律上の親族に含まれるということになりますね


さて、今回は、親族、血族、姻族、親等と

知っているようで知らない法律用語が並びましたが、ひとつひとつは難しくありません

ご自身の家系図を作成しながら、法律上の親族の範囲を確認してみてください




 

師走と聞くと、今年も終わる~と慌ただしくなり、

“走“の漢字は、一層、時の流れの速さを感じさせますね


時候の挨拶として用いる「師走の候」、

いつ頃使うのかを調べてみると、

12月初旬から中旬頃が適しているとのこと

ちなみに、12月上旬は、「初冬の候」「初雪の候」なども使われ、

下旬になると「歳末の候」「歳晩の候」が適しているとのことです

少しずつ年の瀬に向かっている雰囲気が伝わりますね


さて、慌ただしい12月ですが、残すところ僅かとなりました

大掃除に年賀状、おせちの準備など、ラストスパートという方も多いと思います

そんな忙しい中、このコラムを読んでいただき、ありがとうございます

皆様のご支援により、無事新しい年を迎えることができそうです

私たちシャロンに関わってくださった、

おひとりおひとりに感謝の気持ちをお伝えしたいです

今年もありがとうございました

どうぞ、佳い年をお迎えください 

先日読んだ記事に、相続を順位と割合で55パターンに分類して解説するというものがありました


55パターンという驚きの数字にひかれて読みすすめると、

配偶者と子が相続するパターンから始まって、

実子と養子がいるパターン、

胎児がいるパターン、

子が父を侮辱した、

身寄りがない、

などレアなケースも含め様々な態様についての解説がされていました

相続と一言で言っても、多種多様であることに改めて感じ入りました


相続は、態様のほかにも遺産承継に関する考え方も千差万別です

百人いれば百通りの考え方があり、

置かれた状況や立場の違いによるところも大きく、

周りの雑音もあり、

驚くような主張をされるケースもあります


遺産承継は、ほかの相続人と比べることで、心が乱れてしまいます

人間ですから当然です

しかし、遺してくれただけで有難い、代わりに親孝行してくれてありがとう、

という感謝の気持ちで心を満たすと、あら不思議、心穏やかです


相続は、一生のうちで何度も経験することではありません

経験して学ぶことより、事前の予習が大切です

専門家に相談したり、このコラムも参考に、

相続をきっかけに更に家族の仲が深まったというような手続きにしていただきたいなと思います

 

キャッシュレス化の流れにより、近年、電子マネーは急速に浸透しました

身近なところでは、豊橋市プレミアム付電子商品券「とよっペイ」、これも電子マネーの一種です

先日、私も緊張しながら初めて利用しました

とても簡単、便利、そして、波に乗れたわ~と嬉しかったです


ところで、電子マネーは、預貯金などと同じように相続することができる?

 電子マネーは、支払方法により次の3つに分類されます。

 ① あらかじめ現金をチャージして使用する「先払い型(プリペイド型)」

 ② クレジット会社を通じて支払う「後払い型(ポストペイ型)」 

 ③ 銀行口座から即時に引落とされる「即時払い型(デビット型)」


このうち、相続の対象となるのは、①プリペイド型のみです

②ポストペイ型、③デビット型は、利用して初めて支払いが生じるものですので、相続すべき財産的価値が存在しません

ちなみに、利用後の請求分(未払分)は、債務として相続の対象となります


①プリペイド型は、チャージ残高が残っていた場合、財産的価値が存在していますから、相続の対象となりそうです

しかし、現状、発行会社によって相続の可否が異なっています

ガイドラインの整備が不十分であるが故に、各社、規約で相続の可否について謳っており、A社は死亡により権利が消滅する、B社は相続人へ返金するなどと対応はまちまちとなっています

 今後、ガイドラインが整備され、ルールや手続きが明確化されていくことになりますが、現状、利用者が死亡した際、残高がゼロとなる(相続できない)場合があることを知ったうえで、電子マネーをご利用下さい

皆さんは初めて投票に行ったときの年齢を憶えていますか?

平成28年、公職選挙法が改正され、選挙年齢は18歳となりました

当時は、高校生が模擬投票などを行い、話題になりました

5年も前の事なのですね 


さて、今年は、民法の改正法が施行となり、成年年齢が18歳に引き下げられます

民法上「成年」といいますが、一般的には「成人」ということです

具体的には、今年4月1日の時点で18歳以上20歳未満の方は、4月1日に成年に達することになります 

4月2日生まれ以降の方は、18歳の誕生日に成年に達することになります


この改正により、18歳19歳の方は、親権者の同意を得ずに、単独で携帯電話を購入するなどの各種契約を行うことができるようになります

また、親権に服することがなくなる結果、自分の住む場所を自分の意思で決めたり、10年有効パスポートを取得したり、公認会計士や司法書士などの国家資格に基づく職業に就くこと、そして遺産分割協議に参加することなどができるようになります


 ひとりでできることが増える一方、自己責任という義務も果たさなければなりません

契約についていえば、未成年者に認められている取消権を行使することはできなくなり、代金支払いなどの義務の履行が求められます

成年に達する18歳19歳の皆さん、そして、親御さん、準備はできていますか?